宗教法人のお寺における「非収益事業」とは?基本の考え方【基礎編】

お寺を運営するにあたって、「非収益事業」という言葉を耳にすることはありませんか?
これは、宗教法人にとって非常に重要な考え方です。
この記事では、特に「非収益事業のみを行う」お寺様向けに、基本的な知識と実務上の注意点をわかりやすくまとめました。

宗教法人の非収益事業とは?基本の考え方

まず「非収益事業」とは、利益を目的とせず、宗教活動そのものを行う事業のことを指します。
宗教法人であるお寺は、営利企業とは異なり、信仰の維持・発展を目的として活動するため、多くの業務がこの非収益事業に分類されます。

具体例:非収益事業にあたる活動

  • 法要・法事の実施
  • 葬儀や供養の対応
  • お布施、寄付の受付
  • 門徒会、護持会の管理運営
  • 布教活動
  • 境内や建物の維持・修繕
  • 行事や祭礼の開催

これらの活動に伴う収入(お布施・寄付金など)は、「宗教活動に伴う収入」として、原則非課税扱いになります。

非収益事業と収益事業の違い(宗教法人の事業区分)

判断を明確にするため、代表的な活動を一覧にまとめました。

活動内容非収益事業収益事業
法要・供養の実施-
葬儀や法事に伴うお布施の受領-
お守りや授与品の配布(無料または志納金)-
お守り等の販売(明確な価格設定あり)
駐車場の有料貸付-
賃貸用不動産の運営-
研修会・講座の開催(無料)-
研修会・講座の開催(有料・営利目的)-

※△印(条件付き)の場合は、ケースによって収益事業と判断されることがあります。

グレーゾーンに注意|宗教法人の収益事業と非収益事業の判断基準

中には、どちらに分類すべきか迷うケースもあります。例えば…

  • 御守りや授与品の頒布
    → 基本的には「非収益事業」ですが、価格を定めて営利的に販売する場合は「収益事業」と見なされることがあります。
  • 境内での物品販売イベント
    → 内容によっては収益事業に分類される場合があるため、事前に十分検討する必要があります。

ポイント
営利性の有無(利益を目的としているかどうか)が、判断基準になります。

迷った場合は、専門家(税理士や行政書士)に相談することも検討しましょう。

非収益事業のお金の流れと宗教法人の会計帳簿

非収益事業に関する収入・支出であっても、正しい会計処理をすることが重要です。
特に、次のような対応が求められます。

  • 収支計算書の作成(年1回)
  • 財産目録の作成

これらの書類は、監督官庁(都道府県など)への報告にも使われます。

お寺の業務と会計処理の流れ|宗教法人向け帳簿付けの基本

ここまでを踏まえてよくある日常の業務と会計帳簿とのつながりを整理しました。

日常業務入金・支出内容会計帳簿での処理
法要の実施入金(お布施受領)現金出納帳に記帳(収入)
寄付金受付入金(寄付金収入)現金出納帳に記帳(収入)
境内修繕工事支出(修繕費)現金出納帳・支払伝票に記帳(支出)
檀家管理費用支出(名簿整備等)現金出納帳・支払伝票に記帳(支出)

これらの帳簿データを基に、年次の収支計算書が作成されます。

まとめ|宗教法人の会計処理は「非収益事業」の理解から

非収益事業は、お寺が宗教活動を続けるうえで核となる存在です。
適切に活動内容を分類し、正しい帳簿管理を行うことが、法人の信用を守り、安定した運営を支えることにつながります。

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