お寺の収支計算書の作り方とは?
〜宗教法人における会計の注意点を分かりやすく解説〜
はじめに
お寺(宗教法人)の会計は、一般企業の会計とは異なり「非営利」を前提としています。
多くの寺院では非収益事業のみを行っているケースが多いですが、そのような場合でも収支計算書の作成はとても大切です。
今回は、お寺の収支計算書の基本的な作り方と、非収益事業ならではの注意点についてわかりやすくご紹介します。
収支計算書とは?
収支計算書は、その年度における
- 収入(例:寄付金、護持会費、布施収入など)
- 支出(例:寺務費、人件費、法要費など)
をまとめたものです。
お寺の財政状況を「見える化」する大事な書類であり、住職にとっては責任役員、総代などの檀信徒からの信頼を得るためにも必須です。
文化庁のホームページに宗教法人の収支計算書様式例が掲載されていますのでイメージを掴みたい方はそちらをご覧ください。
文化庁の収支計算書様式例はこちら
様式については自由であり、必ずしも文化庁の様式に沿う必要はありません。
むしろ、A3一枚サイズにまとまるくらいが望ましいかと思われます。
<イメージ例>

お寺の収支計算書ができるまで(4ステップ)
収支計算書作成の一連の流れを図にまとめました。以降はステップに分けて説明したいと思います。

ステップ1:入出金伝票を作成する
まず、
- お金を受け取ったとき(収入)
- お金を支払ったとき(支出)
それぞれについて
入金伝票・出金伝票を作成し、証憑(領収書など)と一緒に保存します。
ポイント!
伝票には、「日付」「金額」「相手先」「内容(摘要)」を必ず記載!
ステップ2:出納帳に記録する
伝票をもとに、出納帳(現金出納帳・預金出納帳)に
- 伝票に記載した情報(ステップ1参照)
- 勘定科目
- 残高
を時系列順に記録していきます。
個人利用分が混じっている費用については、
- 按分ルールに従って
- 寺院活動分だけを経費に計上
となるようにします。
費用按分についてはコラム下段に詳しく記載しています。(詳しくはこちら)
ポイント!
- 出納帳は現金(お寺にあるお金)と預金(銀行口座にあるお金)で分けて作成!
- 定期的に出納帳の残高と 現預金の実際の残高が一致するか確認しましょう!
ステップ3:科目別に整理する(科目集計)
決算処理時に、出納帳に記載した全ての取引を勘定科目ごとに集計していきます。
布施収入という勘定科目であれば、出納帳から「布施収入」の科目を探し出して、全て足し上げていきます。
ステップ4:収支計算書を作成する
最後に
【収入】ー【支出】=【差額】
を計算し、
- ステップ3で集計した科目ごとの小計額
- 総収入額
- 総支出額
- 差額(当期剰余または不足)
- 次期繰越金額
を記載して収支計算書を作成します。
ポイント!
次期繰越金=出納帳の期末残高の合計額になります!
一致するか確認しましょう!
費用按分について
お寺の住居部分(庫裡)と寺院活動部分が同じ敷地・建物にあるような場合、
例えば
- 光熱費
- 水道代
- 通信費
- 車両費、ガソリン代(お参りとプライベートで同じ車を使う場合)
などの共通費用が発生します。
この場合、すべてをお寺の経費にするのではなく、
- 寺院活動に使用している割合を適切に算定し、
- 「経費と個人負担に按分(あんぶん)」する必要があります。
一例として:
- 電気代全体のうち、50%を寺院経費、50%を住居利用として処理
- 車両費のうち、法務や檀家訪問に使った分のみ経費計上
など、合理的な基準をもとに按分ルールを作り、出納帳に記録しておくことが大切です。
ポイント!
プライベートで使用するものを全額経費にしていると、税務調査で否認されるケースが多々あります!
根拠を持って論理立てすれば大丈夫なので、按分ルールを設定するようにしましょう!
まとめ
非収益事業のみを営むお寺であっても、収支計算書を整備することは、お寺の財務基盤を守り、信頼を高めるために不可欠です。
「面倒だから」「非課税だから」といって手を抜かず、しっかりと帳簿を作成していきましょう!
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